10月2日に放送されたクローズアップ現代で、通販やらせレビューの実態について放送していました。
ネットで物を買うとき、参考にするのが商品の評価”レビュー”
しかし今、このレビューがお金で売買され、組織的なやらせレビューが相次いでいるということです。
中には、コンピューターのシステムで大規模にレビューをつける工場も。
驚きの実態が明かされました。
目次
サラリーマンから主婦まで やらせレビュー
NHKは、1人の男性にインタビューしていました。
なんとこの男性、これまでに60以上の商品でレビューを書いたんだそう。
実際には購入した商品を使用しておらず、想像して書く、ということです。
毎月10点ほどamazonで商品を購入。
高い評価のレビューを書くと、商品代と報酬をもらえるといいます。
手に入れた商品はそのままフリマアプリで転売。
6万円近くを稼いだということです。
会社員や主婦が本格的に副業としてやっている方もいるとのこと。
なんとサイト上で堂々とやらせレビューの募集が行われていました。
どんな人がレビューを募集しているのか・・・?
一体どんな人がやらせレビューを募集しているのでしょうか?
プロフィールを見てみると、中国風の名前が多いようです。
募集の情報を調べるため、連絡先を公開している人に電話取材をしていました。
取材と伝えると、電話はすぐに切られてしまいます。
そこでレビューを書いてみたいと連絡してみると、相手側から「レビューを書いて写真を送ってくれれば2日以内に商品代を返金する」という言葉が。
なんと、レビューを集める仲介業者だと話す女性。
やらせレビューのしくみ
出品者→仲介業者→書き手
という形でやらせレビューが作成されているとのこと。
仲介業者だと名乗る女性は、出品者から依頼され、SNS上でレビューの書き手を募集しているということです。
今レビューを集めているのは、イヤホンなどの電化製品。
スマホの普及により、イヤホンやケーブル・バッテリーの需要が多いのかもしれませんね。
NHKでは、この実態を調査するため、仲介業者に商品を送ってもらいチェックしていました。
届いたのは、中国製のUSBケーブルとワイヤレスイヤホン・モバイルバッテリー
チェックしてみると、モバイルバッテリーはいくら充電しても満タンになりません。
正直にレビューを書いてもよいのか、仲介業者へ再度電話をかけてみました。
すると、「それはダメよ。似たような商品のレビューを参考にして5つ星をつけて!」ときつい口調で返答が。
品質に問題があるから5つ星はつけられない、と答えると、怒った口調になり、電話を切られてしまいました。
仲介業者の依頼はここでストップ。
商品の出品者へ追跡!中国・深圳(しんせん)へ
今度は商品の出品者へ追跡。
出品者の登録情報を見ると、ほとんどが中国。
中でも深圳(しんせん)の住所が目立ちます。
そこで、中国・深圳へ取材に。
深圳は中国のシリコンバレーとも呼ばれ、先端企業や工場が集積する一大ハイテク都市。
出品者・イヤホンの製造元を直撃取材。
記載されていた住所へ向かうと、登録された社名とは違っていました。
登録された番号に電話し、住所が違うことを指摘すると、「よくわかりません」という返答が。
どうやら他人の住所を勝手に使っていたようです。
その後も取材を続けると、ようやくモバイルバッテリーを出品していた会社へたどり着きました。
「あなた方はやらせレビューをしていますか?」と質問。
すると、「正直に言いますが、少ししかしていません。仲介業者を使っているような大企業もあるかもしれませんが、私たちは小規模にやっているだけです」と答えていました。
やらせレビューに関わっていることは認めましたが、詳細は語りませんでした。
深圳の家電メーカーの日本支社に勤める女性 インタビューに応じる
日本で、やらせレビューの取材に応じるという女性が現れました。
現われたのは、深圳の家電メーカーの日本支社に勤める女性。
これまで、中国人留学生や日本人を使って、数百件のレビューを書きこませてきたといいます。
「レビューは形を変えた広告費。なぜなら日本人はレビューがないとまずその商品を買わないから。食事でも宝くじでも行列が長いほどそこに行きたがるのよね。自分で判断する意識が低い」と話していました。
日本人はレビューがないとその商品を買わない、と断言されてしまいました。
判断する意識が低いわけではないですが、やはりレビューなどの口コミを参考にすることは多いと思います。
やらせレビュー 驚きの実態
ネット通販で多発する”やらせレビュー”
今回のクローズアップ現代では、日本最大の売上高を誇るamazonジャパンで横行する実態について紹介していました。
NHKでは、出品者・仲介業者・書き手の間で横行するやらせレビューを突き止め、さらに取材をすすめたところ、巧妙に大量のやらせレビューが作られている現場に辿り着いたということです。
中国 大規模なレビュー工場
中国にあるビルの一室の映像が流れました。
とても衝撃的な映像です。
なんと、この一室、大規模なレビュー工場だということです。
人の姿は見えません。
スマートフォンが大量に並び、誰も手を触れていないのに、画面が勝手に動いています。
よく見ると、「アイフォン チャージャー」と書かれています。
これは特殊なプログラムを使い、人の代わりに商品を購入している様子なんだそう。
自動的に購入し、その後レビューを書き込みはじめるということです。
スマホの数だけレビューを量産。
異様な光景です。
仲介業者 削除されたらまた新しく書けばいいだけ
NHKは、中国にある仲介業者に接触。
やらせレビューについて質問していました。
仲介業者は、Amazonが削除するということはわかっているようです。
「レビューが消されるのは普通。その分新しく書けばいいだけ。何の役にも立たないものでもレビューが多ければ売れるのよ。消費者とはそういうもの」と堂々と不正を明かす女性がいました。
amazonは対策しているが「いたちごっこ」
慶応義塾大学教授の宮田裕章さんが、やらせレビューについて話していました。
「サイトの質を高めるためには良質なレビューは不可欠なんですが、Amazonの成長を後押しした理由は、レビューデータの活用です。フェイクレビューというのはコミュニティの信頼に対する破壊行為です。
Amazonも定期的に不正アカウントの削除をするなど対応をとっているのですが、いたちごっこが続いているということになりますね」と話していました。
ネットワーク報道部の斉藤記者に、武田アナウンサーが、「このやらせレビュー、どのくらい広がっているんですか?」と質問。
斉藤記者は、「今回、世界14ヶ国で販売されているある電化製品のレビューを全て調べてみました。すると、日本を含めて9ヶ国のところで疑われる不正なレビューがついていることがわかりました。やらせ、イコール粗悪品とは限らないんですけど、これだけ世界中に広がっていることがわかりました」と話していました。
やらせレビューの法的規制 日本は・・・?
やらせレビューの法的規制はどうなっているのでしょうか?
アメリカ:仲介業者と出品者に14億円の支払い命令。書き手1000人を提訴
中国:去年、同様の法律制定 逮捕者も
日本:嘘のレビューを書かせる行為は景品表示法違反に当たる可能性
日本では、レビューを規制する法律はまだ制定されていません。
今後、何らかの規制が出来るかもしれませんが、早めの対処が必要だと思われます。
amazonの対策は?
amazonの対策も紹介していました。
Amazonガイドライン
・「対価を目的としてレビューを書く行為」を禁止
・やらせレビューと分かれば削除
・違反した人のアカウント停止も
Amazonでは規制していますが、やらせレビューが横行している状態です。
やらせレビューの見分け方
斉藤記者が、やらせレビューを見分ける方法を教えてくれました。
専門家にやらせレビューの見抜き方を聞いてきたということです。
・レビューについているおかしな日本語。翻訳ソフトを利用し、海外の言葉を日本語に翻訳している。
・星の数の分布が星5と星1に集中する。
・投稿日のかたより・同じ日付で大量の投稿がある場合は疑って欲しい。
あるイヤホンのレビューの日付を調べてみたところ、1日に234件もレビューがついている商品もあったということです。
本来レビューは通常100個売れて2、3個レビューがつけば良いと言われているんだそう。
しかし、あまりに日付と件数にばらつきがあるのは分布がおかしい、ということで要チェックだということです。
レビューがやらせか調べるサイト サクラチェッカー
見抜き方を教えてくれた専門家の方が、参考になるサイトを紹介してくれたということです。
レビューがやらせである確率がどれくらいなのかを調べることができるサクラチェッカーというサイトです。
商品のURLを入力すると、サクラ度をチェックして教えてくれるということです。
今年7月に公開されて、すでに10万件の商品がチェックされ、そのうちの11%の商品でサクラ度が極めて高いと判定されているようです。
サクラチェッカー、今後さらにユーザーが増えそうですね。
通販で商品を購入する際、ついレビューがあるかないかで判断してしまうこともあります。
同じ商品でもレビューが0の商品よりも、使用感などを記載したレビューを参考にする方も多いのではないでしょうか。
サクラチェッカーで確認できると助かりますね。
慶応義塾大学教授 宮田裕章さんは、
「定期的に不正アカウントは削除されます。
この削除率が近年一貫して高いのは、イヤホンやウェブカメラ、スマートフォンのアクセサリなど、いずれも多くの企業が入り乱れているものには注意が必要。
ただ、一方では、急速に進化した多言語翻訳。
これは我々の生活を便利にしたんですが、当然やらせ業者も便利にしてしまうため、非常に見分けがつけにくくなっています。
個人の対応だけでは限界があるというところにきていると思います」と話していました。
アゲレビューだけでなくサゲレビューも横行
なんと、アゲレビューだけでなく、サゲレビューも横行しているということです。
商品をAmazonへ出品していた会社は、サゲレビューによって大変な目にあったそう。
Amazonでは、安全が疑われた商品は一時的に販売を停止されることがあるとのこと。
この頃、1000通を超える嫌がらせメールも届いたんだそうです。
中にはぎこちない日本語で脅すような内容も。
悪質な嫌がらせとして弁護士に相談し、警察にも届出。
何とか販売を再開できましたが、損失は約100万円になってしまいました。
恐らく同業他社がやっている、と語る出品者。
商品をいわれなく中傷するサゲレビュー。
サゲレビューも問題になっているようです。
アゲレビューにサゲレビュー 対策はどうすれば・・・?
アゲレビューにサゲレビュー。
対策はどうすれば良いのでしょうか?
Amazonに今後について質問をしたところ、回答が来たということです。
アマゾンは、専門チームによる調査とテクノロジーを組み合わせて24時間365日体制で不正レビューのブロックや削除をしています。
さらに不正検知の仕組みを改善し、引き続き、取り組んでいます。
という回答が得られました。
賢い消費者になるためにどうすればよい?
賢い消費者になるためにはどうすればよいのでしょうか。
「マーケット規模の拡大が先行する中で、国境を越えた不正が新たに起こっていますが、変化する対応をグローバル規模の企業に任せるだけでなく、日本側もこの問題を考えていく必要がある。信頼をデザインする必要性がある。問題が起こった後に消費者を守るだけでなく、問題が起こる前に発生しないようにする、フェイクレビューを書かせないようにする、という対応が必要です。また、ユーザーが学ぶこと。支え合う仕組みを考えていかなければいけないと思います」
テクノロジーや、社会としての仕組みや、信頼を守り、作るということを意識した活用が必要になるようです。
法的な措置も重要ですが、ユーザー1人1人が学び、注意することも重要ですね。
巧妙化しているやらせレビュー。
日本もアメリカや中国のように、なるべく早い段階で法整備を進める必要がありますね。
まとめ
10月2日に放送されたクローズアップ現代で、通販やらせレビューの実態について放送していました。
ネットで物を買うとき、参考にするのが商品の評価”レビュー”
しかし今、このレビューがお金で売買され、組織的なやらせレビューが相次いでいるということです。
会社員や主婦が本格的に副業としてやっている方もいるとのこと。
なんとサイト上で堂々とやらせレビューの募集が行われていました。
やらせレビューのしくみは、出品者→仲介業者→書き手
という形でやらせレビューが作成されているとのこと。
出品者の登録情報を見ると、ほとんどが中国。
深圳の家電メーカーの日本支社に勤める女性がインタビューに応じ、中国人留学生や日本人を使って、数百件のレビューを書きこませてきたと明かしていました。
「レビューは形を変えた広告費。なぜなら日本人はレビューがないとまずその商品を買わないから。自分で判断する意識が低い」と断言。
また、中国のビルの一室には、大規模なレビュー工場がありました。
人の姿はなく、大量のスマートフォンが並んで勝手に動いています。
これは特殊なプログラムを使い、人の代わりに商品を購入している様子なんだそう。
自動的に購入し、その後レビューを書き込みはじめるということです。
Amazonも定期的に不正アカウントの削除をするなど対応をとっているのですが、いたちごっこが続いている状態に。
やらせレビューの法的規制は、アメリカや中国にはありますが、日本にはまだありません。
◆やらせレビューの見抜き方
・レビューについているおかしな日本語。翻訳ソフトを利用し、海外の言葉を日本語に翻訳している。
・星の数の分布が星5と星1に集中する。
・投稿日のかたより・同じ日付で大量の投稿がある場合は疑って欲しい。
ということです。
また、サクラチェッカーというホームページがあり、ここに商品のURLを入力するとサクラ度をチェックして教えてくれるということです。
賢い消費者になるために法的な措置も重要ですが、ユーザー1人1人が学び、注意することも重要ですね。
やらせレビューの見抜き方を参考にし、サクラチェッカーなどを利用して納得した上で購入するという意識が必要なのだと思いました。